インセプション：あらすじ

「エクストラクト」という夢の中に入って情報を抜きとる産業スパイのドム・コブ（“レオナルド・ディカプリオ”）。彼は人の心が無防備な状態、つまり夢を見ている間に潜在意識から貴重な秘密を盗み出すスペシャリスト。その才能から国際指名手配を受け、さらに妻の殺害容疑もかけられていた―。
そんな彼に失った人生を取り戻すチャンスが訪れる。サイト―（“渡辺 謙”）という男からアイデアを盗むのとは逆、およそ不可能とされる相手の心に“植え付ける”、インセプションを依頼される。もしコブと仲間たちが成し遂げたなら、それは完全犯罪を意味する。 しかし、いかに綿密に計画し、特殊な能力があったとしても、行動がすべて相手に読まれていては太刀打ちできない。そんな強敵が現れる予感を、コブだけが感じ取っていた…。

リーダーのコブ、スパイの相方アーサー（“ジョセフ・ゴードン＝レビット”）、依頼主のサイト―、優秀な設計師アリアドネ（“エレン・ペイジ”）、偽造師のイームス（“トム・ハーディ”）、調合師のユスフ（“ディリープ・ラオ”）。 この６人で、サイト―の運営する会社の競争会社モーリス・フィッシャー（“ピート・ポスルスウェイト”）の息子、ロバート・フィッシャー（“キリアン・マーフィー”）の夢の中に入ることになる。

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• 【鑑賞前】

  巨匠クリストファー・ノーラン監督が、オリジナル脚本で描くSFアクション大作。睡眠中に誰しもが見る夢…。長い夢を見ていたのに数分だけ眠っていた！そんな事ありますよね？その一瞬をノーラン監督ならではの時間という概念で構成された作品です。 初見では理解するのがかなり難しいですが“睡眠に階層”があるとご理解ください。
  『第1階層』はユフスの夢で、ロサンジェルス市街。
  『第2階層』はアーサーの夢で、ホテル。
  『第3階層』はイームスの夢で、雪山の病院。そして…。
  という感じで、夢の中で誰かの夢に入る。そして、階層が深くなるほど時間の流れが遅く!? 長くなる。 そして、夢で死ぬと目が覚める。それだけ念頭に入れて見ていただくだけで、初見でもある程度理解できるとは思います。しかし、２度以上は視聴することになるでしょう…。

• 【鑑賞後】

  この作品、構想から脚本が出来上がるまでに８年の時間を要したとか…。ノーラン監督ならではの全てを説明するのではなく、視聴する者に感じ取ってくれ！のメッセージ性は他の監督が同じことを行っても真似できないモヤッと演出。
  毎度コブの邪魔をする妻モルはコブが生み出す潜在意識。夫婦二人で深く、より深い夢の世界に潜り、常人の何倍もの人生を繰り返す…。夢の世界に入り、夢から覚める為に自殺、そしてまた夢の中に潜る…。今が夢なのか現実なのか？夢の何層目にいるのか？目を覚まし、現実に戻ると身体は衰えていないが、心だけが衰えてゆく…。こんなにも残酷な物語は無いのではないでしょうか。
  ヒンズーの教えに「世界は神が戯れに見せる幻」という言葉がある。この物語はコブが主人公として話は進んでいく。が、そもそもこの物語自体が現実なのか？はたまた夢だったのか？それすらも分からなくなってゆく…。今起こっている現実とは何か？意識があって形がない『時間』という壮大なテーマに切り込んだ大作だと思います。