パンズ・ラビリンス・あらすじ

1944年、フランコ独裁政権下のスペイン。独裁政権が牛耳るスペインは、どこもかしこも争いばかりで、苦痛が蔓延していた。戦争で父を失った少女オフェリア（“イバナ・バケーロ”）は、母親の再婚相手の屋敷で世話になることになった。 冷酷で残忍な義父から逃れたいと願うオフェリアは、昆虫に姿を変えた妖精に導かれ、謎めいた迷宮へと足を踏み入れる。すると迷宮の守護神パンという怪物が現われ、オフェリアこそが魔法の王国のプリンセスに違いないと告げる。 彼女は王国に帰るための3つの試練を受けることになるが…。

Tweet

• 【鑑賞前】

  遥か昔、嘘や苦痛のない魔法の王国が地面の下にあった。その王国のお姫様は人間の世界を夢見ていた。澄んだ青空や、そよ風、太陽を見たいと願っていた。そしてある日、お姫様は従者の目から逃げ出すことにした。地上に出たお姫様はあまりの明るさに目が眩み、全ての記憶を失ってしまった。 自分が誰で、どこから来たのかも忘れてしまったお姫様は、魔法の王国にはなかった寒さや痛み、病に晒される。そして、彼女はとうとう、地上で息絶えてしまった。しかし、父王はお姫様の魂が別の肉体に宿り、別の時代に戻ってくることを命の限り待ち続けていた―。
  薄暗く幻想的、なのに美しいダークファンタジー映画。子供よりも大人に向けたファンタジーだからこそ、人として生きる事を描き出している。

• 【鑑賞後】

  「人生はおとぎ話じゃない」人生には楽しいことも、辛いこともある…だからこそ夢見、幻想を頂く。しかし、大人になるにつれ、おとぎ話を幻想と思い、夢を見る事を忘れてしまうのかもしれないですね。 戦いが繰り広げられるスペインの地で、愛する父を亡くし、家庭に居場所がないオフェリア。彼女の淋しさと苦しさが伝わってくる。登場人物どの立場からも、あまりにも残酷な世界は逃げ出したい。明るい世界に行きたいと願うオフィリアに感情移入せざる得ない。 現実の世界でオフェリアの居場所がないまま終わってしまったのが、家庭に少しでも居場所があったのならまた違った物語になったのかもしれない。エンディングは賛否両論あるが、それまでに行ってきたオフィリアの行動、努力などは決して報われないものではない事を物語っている。